北海道体験 > お知らせ > 野生動物と人は、どう共に暮らしていくのか|ニセコで学ぶ「くくり罠の狩猟体験」

野生動物と人は、どう共に暮らしていくのか|ニセコで学ぶ「くくり罠の狩猟体験」

北海道体験 編集部

2026.08.18

豊かな森と農地が広がる北海道・ニセコ。

美しい自然の中には、エゾシカをはじめとする多くの野生動物が暮らしています。そして、そのすぐそばには、畑を耕し、森林を守り、日々の生活を営む人たちがいます。

野生動物と人が同じ地域で暮らしていくために、私たちはどのようなことを知り、どのような距離を保つ必要があるのでしょうか。

ニセコ・倶知安町にある「冒険家族」が実施する「くくり罠の狩猟体験~野生動物との共存を学ぶ~」は、動物を探して追いかけたり、捕獲そのものを娯楽として楽しんだりするツアーではありません。

地域で鳥獣対策に携わってきた経験豊富なガイドと森に入り、野生動物の痕跡や獣道を観察し、くくり罠の仕組みを知ることで、自然、生き物の命、農作物への影響、地域の暮らしについて考える体験です。

ニュースで伝えられる情報だけでは分かりにくい、野生動物と人との関係。

その答えを一方的に決めるのではなく、実際のフィールドを歩き、自分の目で見て、ガイドの話を聞きながら考えてみませんか。

この体験で学ぶ「野生動物との共存」とは?

「共存」という言葉から、人と野生動物がいつも穏やかに暮らす姿を思い浮かべる方もいるでしょう。

しかし、実際の自然環境や農村地域では、それほど単純ではありません。

野生動物には、それぞれの生態と生活圏があります。一方、人は農作物を育て、森林を管理し、道路や住宅のある環境で暮らしています。

その活動範囲が重なると、農作物への被害や植生への影響、交通事故など、さまざまな課題が生じることがあります。

野生動物を一方的に恐れたり、反対に人に近い存在として扱ったりするのではなく、それぞれの生態を知り、適切な距離を保つことが大切です。

この体験では、ガイドと一緒に森を歩きながら、動物が残した足跡や食痕、通り道などを探します。

姿が見えなくても、森には動物が暮らしている証拠が残されています。

どのような場所を通るのか。何を食べ、どこで休むのか。なぜ人の暮らす場所や農地に近づくことがあるのか。

動物の痕跡を読み取ることで、野生動物の側から森を見る視点を学びます。

「くくり罠」とはどのような道具?

くくり罠は、地面などに設置し、野生動物の脚をワイヤーで捕らえる道具です。

この体験では、ガイドの説明を受けながら、獣道の見つけ方や罠の仕組み、設置場所を考える際の視点などを学び、罠の設置作業を補助します。

野生動物の捕獲には、法律や地域のルール、安全管理、動物の生態に関する知識が必要です。誰でも自由に罠を設置してよいわけではありません。

このプログラムは、参加者が独自に狩猟を行うものではなく、地域で鳥獣対策に携わるガイドに同行し、その活動の一部を学ぶ体験です。

捕獲の成否を競ったり、動物を傷つけることを楽しんだりするものでもありません。

罠を設置する背景に何があるのか。地域の暮らしや農作物を守ることと、野生動物の命をどのように考えるのか。

簡単に一つの答えを出すのではなく、現場を知ったうえで考えることが、この体験の大切な目的です。

シカの解体見学について

当日の状況と希望によっては、捕獲されたシカの解体を見学する場合があります。

解体見学は必須ではなく、希望する方を対象とした内容です。

生きていた動物が食材になるまでの過程を目にするため、人によっては精神的な負担を感じる可能性があります。希望しない方は、予約時や体験前にガイドへお伝えください。

一方で、私たちが普段食べている肉も、もともとは一つの命です。

食卓に並ぶまでの過程が見えにくくなった現代だからこそ、命をいただくこと、捕獲した命を無駄にしないことについて考える機会にもなります。

参加料金には、真空パックされた鹿肉のお土産が含まれています。

これは単なる記念品ではなく、地域で捕獲された野生動物の命と、その活用について考えるきっかけの一つです。

狩猟や解体に対する感じ方は、人によって異なります。

この体験は、特定の考え方を押しつけるものではありません。参加者それぞれが現場を知り、命と暮らしの関係を考えることを大切にしています。

熊を見に行く体験ではありません

このプログラムは、熊を探したり、観察したり、接近したりするツアーではありません。

野山に入る以上、野生動物と遭遇する可能性を完全になくすことはできません。そのため冒険家族では、鈴や笛などで人の存在を知らせ、野生動物との不意の接近を避けるための対策を取っています。

ガイドは必要な安全装備を携行し、希望者には体験前に、熊、ハチ、毒草など自然の中で注意したいことについて説明します。

ガイドによると、この体験を続けてきた約30年間、ツアー中に熊と遭遇したことはありません。ただし、これは将来の安全を保証するものではありません。

大切なのは、熊を必要以上に恐れたり、興味本位で近づこうとしたりすることではなく、生息域に入る際の基本を知り、ガイドの判断と指示に従うことです。

野生動物に餌を与えない。近づかない。刺激しない。痕跡や周囲の状況に注意する。

適切な距離を保つことは、人の安全だけでなく、野生動物を人とのトラブルから守ることにもつながります。

季節の山菜や野草にも目を向ける

この体験で森の中に探すものは、動物の痕跡だけではありません。

季節によっては、ガイドから山菜や野草、森の植物についての話を聞くこともできます。

同じ森でも、春、夏、秋では見えるものが変わります。

雪解け後に芽吹く植物。夏の濃い緑。実りを迎える秋の森。

動物だけに注目するのではなく、植物、地形、水、季節の変化まで含めて自然を見ることで、生態系が多くのつながりによって成り立っていることに気づきます。

私たち人間も、そのつながりの外にいるわけではありません。

自然の恵みを受けながら、地域でどのように暮らしていくのか。

森を歩く時間そのものが、そのことを考えるきっかけになります。

案内するのは「冒険家族」の阿南敬三さん

体験を案内するのは、冒険家族代表の阿南敬三さんです。

冒険家族は、倶知安町比羅夫に残る旧校舎を再利用し、1993年に誕生した宿泊・自然体験施設。

木造校舎の教室や廊下には昔の学校の面影が残り、現在は、森遊び、山菜採り、いかだづくり、魚釣り、五右衛門風呂など、自然と昔の暮らしに触れる体験を提供しています。

阿南さんは長年、ニセコの自然と向き合いながら、地域の鳥獣対策にも携わってきました。

この体験では、狩猟の技術だけではなく、動物の生態、森の変化、安全に野山へ入るための知識、地域で暮らす人の視点を伝えます。

インターネット上の情報だけでは理解しにくいことも、実際に地域で活動する人の話を聞くことで、より具体的に考えられます。

どのような人におすすめ?

このプログラムは、一般的な観光やレジャーとは少し異なります。

次のような方におすすめです。

  • 北海道の野生動物や生態系について学びたい方
  • 狩猟や鳥獣対策が行われる背景を知りたい方
  • 農村地域の暮らしと自然の関係に関心がある方
  • 食べ物と命のつながりについて考えたい方
  • ニセコの森を経験豊富なガイドと歩きたい方
  • ニュースだけでは分からない地域の状況を、現場で学びたい方

一方、動物の捕獲や解体に強い抵抗がある方は、内容を十分に確認してからお申し込みください。

シカの解体見学は希望者のみですが、ツアーのテーマには狩猟や野生動物の捕獲が含まれます。

参加前に体験内容を理解し、自分や同行者に適したプログラムかを判断することが大切です。

服装と持ち物

森や草地を歩くため、長袖、長ズボン、帽子など、できるだけ肌の露出を抑えた動きやすい服装が適しています。

明るい色の服装がおすすめです。

手袋、雨具、リュックサック、虫よけ、飲み物、鈴なども必要に応じてご用意ください。

足元は長靴が適しており、現地でレンタルも利用できます。持ち物は季節や当日の状況によって変わる場合があるため、予約後の案内をご確認ください。

体験中はガイドの説明をよく聞き、罠や道具に許可なく触れたり、単独で行動したりしないようにしましょう。

2026年の開催概要

プログラム名:くくり罠の狩猟体験~野生動物との共存を学ぶ~
開催地:北海道ニセコ・倶知安町
開催期間:2026年4月10日~11月8日
所要時間:約1時間30分~2時間
参加料金:1名8,500円
最少催行人数:2名
集合場所:冒険家族(倶知安町比羅夫145-2)
料金に含まれるもの:ガイド、用具一式、保険、長靴レンタル、真空パックの鹿肉
送迎:JR倶知安駅から無料送迎あり
支払方法:現地で現金払い

予約は希望日時でのリクエスト受付です。申し込み後、ガイドからの連絡をもって受付可否が決まります。

天候やフィールドの状況などにより、内容の変更または催行中止となる場合があります。

自然を「見る」だけでなく、関係を考える体験

北海道の自然は、美しい景色だけで成り立っているわけではありません。

森で生きる動物。農作物を育てる人。自然の恵みを受けて暮らす地域。

それぞれが同じ場所で生きていく中には、簡単には解決できない課題もあります。

野生動物を一方的に悪者にするのでもなく、地域で暮らす人の困りごとを軽く扱うのでもない。

まず、生態と現場を知ること。

そして、命、食、生態系、農業、地域の暮らしを自分のこととして考えてみること。

「くくり罠の狩猟体験」は、その入り口となる学習型の自然体験です。

ニセコの森を歩きながら、人と野生動物が適切な距離を保ち、共に生きていくために何が必要なのかを考えてみませんか?

▼体験内容の確認・お申し込みはこちら