北海道の北部、美深町をゆったりと流れる天塩川。
その流れにカヌーを浮かべて水面から景色を眺めると、道路や橋の上からでは気づかなかった、もう一つの北海道が見えてきます。
空の広さ、川岸に続く深い緑、風に揺れる木々、水面を横切る野鳥。そして、パドルを止めたときに聞こえてくる静かな水音。
今回ご紹介するのは、北海道遺産・天塩川を舞台に、カヌーとラフティングによる川下りを案内する「コスモスカヌー企画」です。
代表の高橋里志さんは、川、自然、カヌーを知り尽くした、この道30年の大ベテラン。1996年、天塩川で唯一のカヌーレンタル会社としてコスモスカヌー企画を立ち上げ、2026年に30周年を迎えました。
天塩川におけるカヌー観光の草分け的存在であり、長年にわたり川の表情と向き合ってきた業界の第一人者です。
初めてカヌーに乗る方や小学生のいるファミリーには短時間のショートコース。少し本格的な川下りに挑戦したい方にはミドルコース。一日かけて天塩川のスケールを体感したい方にはロング・スーパーロングコース。
さらに、カヌーに少し不安がある方や、家族・仲間だけで気兼ねなく楽しみたい方には、安定性の高いラフティングボートによる貸切コースも用意されています。
旅の予定や経験、参加メンバーに合わせて選べる、コスモスカヌー企画の3つのプログラムをご紹介します。
天塩川は、道北の天塩岳を源とし、日本海へと注ぐ全長256kmの大河です。信濃川、利根川、石狩川に次いで、日本で4番目に長い川として知られています。
名寄市から河口までの中下流域には大きなダムや堰がなく、約157kmにわたって流れが途切れないため、日本を代表するカヌーフィールドの一つになっています。
人工物がほとんど視界に入らず、原始の面影を残す風景から「日本のユーコン川」と表現されることもあります。
流域には、幻の魚と呼ばれるイトウをはじめ、エゾシカ、キタキツネ、オジロワシ、ミサゴ、カワセミなど、多くの野生生物が暮らしています。
夏には水辺を飛び交う鳥たち、秋には紅葉や日本海から遡上するサケの姿に出会えることもあります。
ただし、野生動物との出会いは自然からの贈り物。必ず見られるわけではないからこそ、水面の先に何かの気配を感じる時間そのものが、天塩川を旅する楽しみになります。
天塩川は、季節や天候、水量によって表情を変える自然の川です。
穏やかに見える場所でも水中には岩盤があり、その先に瀬や落ち込みが現れることがあります。流れの速さ、風向き、川底の地形、参加者の経験によって、選ぶべき航路やパドルの動かし方も変わります。
そこで大切になるのが、天塩川を熟知したガイドの存在です。
コスモスカヌー企画の高橋さんは、1996年の創業以来、30年にわたって天塩川を案内してきた大ベテラン。川の流れだけでなく、季節ごとの自然、野鳥や魚が現れやすい場所、写真を撮りたくなる景色、コースごとの難所と楽しみ方を知り尽くしています。
資格を持つ公認カヌー指導員として、初めての方にはパドルの使い方や姿勢から丁寧にレクチャー。参加者の経験や体力、その日のコンディションを見ながら案内してくれます。
ただ川を下ってゴールを目指すのではありません。
いつパドルを止めて景色を見るのか。どこで水鳥を探すのか。どの流れに乗れば天塩川らしい面白さを感じられるのか。
長年蓄積された知識と経験があるからこそ、その日の川に合わせた特別な時間が生まれます。
コスモスカヌー企画では、体験時間やカヌー経験、参加メンバーに合わせて、次の3つのプログラムから選べます。
カヌーに初めて挑戦する方や、旅行の途中で気軽に天塩川を体験したい方には、ショートコースがおすすめです。
美深町の恵深橋から美深橋まで、約5kmを約1時間30分かけて下ります。途中に瀬が1~2か所ほどありますが、比較的穏やかで、初めての方にも参加しやすいコースです。
ガイドが同じカヌーに乗り、操船をサポートしてくれるため、「カヌーが初めてで、まっすぐ進めるか心配」という方も挑戦できます。
短い時間の中にも、穏やかな流れ、水面から眺める森、少しスリルのある瀬など、天塩川カヌーの魅力が凝縮されています。
もう少し長く、川の変化も味わいたい方には、美深橋からびふかアイランドまで約11kmを下るミドルコースがおすすめです。
所要時間は約3時間30分。六郷テッシやモンポナイの瀬など、岩盤、瀬、落ち込みが現れ、ショートコースより変化に富んだ本格的な川下りを楽しめます。
「テッシ」とは、アイヌ語に由来する、川を横切るように広がった岩盤や梁状の地形を指す言葉です。天塩川の名前も、この特徴的な地形に由来するといわれています。
穏やかな水面を進んでいたと思ったら、その先から水音が近づき、流れが速くなる。ガイドの声に合わせてパドルを動かし、瀬を抜けたときの爽快感は格別です。
たくさんの水鳥が暮らすエリアで、運が良ければオジロワシや、秋に遡上するサケの姿を見られることもあります。
ショートコースは「初めての天塩川」、ミドルコースは「自然観察と川下りの面白さをもう一歩深く」という選び方がよいでしょう。
▼ショート・ミドルコースの詳細・ご予約
https://h-takarajima.com/programs/2117/
「カヌーは少しバランスが心配」
「家族みんなで同じボートに乗りたい」
「友達だけで、周りに気兼ねなく楽しみたい」
そんな方におすすめなのが、貸切のラフティングコースです。
美深町の恵深橋から美深橋まで、約1時間の川下り。広くて安定性の高いラフティングボートを使用し、1艇に最大8名まで乗ることができます。
激流に挑む一般的なラフティングとは異なり、天塩川の自然をゆっくり楽しむのがこのコースの魅力です。
カナディアンカヌーより進む速度が穏やかなため、野鳥を探したり、川岸の風景を眺めたり、家族で会話を楽しんだりする余裕があります。
何かを見つけたら、みんなで同じ方向を向けるのも一つのボートならでは。カメラを構えながら、突然姿を見せるエゾシカや野鳥を待つのも楽しい時間です。
最少申込人数は大人4名。小学生から参加でき、親子旅行、三世代旅行、友人グループ、職場の仲間との北海道旅行にもおすすめです。
必要なラフティング用具やライフジャケットは用意されるため、特別な装備を持っていない方も参加できます。
高橋さんが長年見つめてきた天塩川を、家族や仲間だけでゆったり共有できるプライベートツアーです。
▼プライベート・ラフティングコースの詳細・ご予約
https://h-takarajima.com/programs/2119/
せっかく美深まで来たなら、天塩川のスケールを身体いっぱいに味わいたい。
そんなアウトドア好き、カヌー経験者、じっくり自然と向き合いたい方におすすめなのが、ロング・スーパーロングコースです。
所要時間は約5~8時間。コスモスカヌー企画では、見たい景色や挑戦したい場所に合わせて、4つの区間から選べます。
名寄市から美深町へ向かう約5時間のコースです。
小高い山に囲まれた静かな流れが続き、ミサゴやオジロワシなどの餌場にもなっているエリア。川の静けさや野鳥観察を楽しみたい方に向いています。
美深町から音威子府村へと進む約6時間のコースです。
なだらかな岩盤地帯へ注ぎ込む流れ、釣りや写真に適したポイント、次々と現れる瀬など、変化に富んだ天塩川を楽しめます。
パドルを動かして瀬を越える、カヌーツーリングらしい達成感を求める方におすすめです。
音威子府村の天塩川温泉付近から、「北海道命名の地」へ向かう約5時間のコースです。
幕末の探検家・松浦武四郎が天塩川流域を調査した際、「北加伊道」という名称を発想したとされる、歴史的な場所へと進みます。
自然だけでなく、北海道という名前の原点にも触れられるコースです。秋には音威子府渓谷の紅葉が水面に映り、季節ならではの美しい風景が広がります。
音威子府村から中川町へ向かう約8時間のスーパーロングコースです。
大きな危険箇所や激しい瀬は比較的少なく、蛇行する狭窄部をゆったりと進みます。
一日をかけて長い距離を旅することで、時間とともに移り変わる空や光、川幅、岸辺の景色を味わえるのが魅力です。
観光地を短時間で巡る旅とはまったく異なる、「川そのものを旅する」体験になります。
▼ロング・スーパーロングコースの詳細・ご予約
https://h-takarajima.com/programs/2116/
3つのプログラムはいずれも小学生以上が対象です。18歳未満の方は、保護者の同伴が必要です。
カヌーが初めての方には、比較的穏やかで体験時間も短いショートコースがおすすめです。ガイドが同乗して操船をサポートするため、自分たちだけでカヌーを動かすツアーではありません。
家族やグループ全員で一つの船に乗り、より安定した状態で楽しみたい場合は、プライベート・ラフティングコースが向いています。
ミドル、ロング、スーパーロングコースは、距離や所要時間、川の変化が大きくなります。経験や体力、見たい景色を伝え、高橋さんと相談して選ぶのがおすすめです。
川下りには、濡れてもよく、動きやすい服装で参加します。
夏は速乾性のあるTシャツや短パン、季節によってはジャージなどがおすすめです。水を含むと重くなり、乾きにくいジーンズや綿パンは避けましょう。
足元は、脱げやすいサンダルや長靴ではなく、濡れてもよい運動靴などが適しています。
日よけの帽子、タオル、雨具、着替え、飲み物もご用意ください。長距離コースでは昼食やカヌー用の手袋があると便利です。
カヌーやラフティングの用具、ライフジャケットなど、基本的な装備は用意されます。コースや当日の状況によって必要なものが異なる場合があるため、予約後にガイドからの案内をご確認ください。
開催期間は、例年6月上旬から10月上旬。2026年は6月1日から10月11日までの予定です。
集合場所は選択するコースによって異なり、各ツアーのスタート地点が基本となります。場所が分からない方やJRを利用する方は、JR美深駅での集合について相談できます。
美深町は、旭川から車で約2時間、稚内から約2時間30分。道北を周遊する北海道旅行の途中に組み込みやすい場所です。
旭川から稚内へ向かう途中、あるいは宗谷エリアから旭川方面へ戻る途中に、美深町で天塩川の川下りを加えると、移動中心になりがちな道北旅行が忘れられない体験の旅に変わります。
ツアーは完全予約制で、希望日時を送信した後、ガイドからの連絡をもって予約可否が確定します。天候や水量などにより、安全のため中止または内容が変更される場合があります。
同じ天塩川でも、昨日と今日では水の色も流れも違います。
風の向きが変われば進み方が変わり、季節が進めば見られる鳥や魚、川岸の色も変わります。
マニュアル通りに同じ景色を見せることができない自然の川だからこそ、30年にわたって天塩川と向き合ってきた高橋さんの経験が生きてきます。
初めて水面から景色を見るショートコース。
家族や仲間と笑いながら進むラフティングコース。
一日をかけて流域を旅するロング・スーパーロングコース。
どのコースを選んでも共通しているのは、北海道遺産・天塩川の大きさと静けさを、身体で感じられることです。
パドルを止め、水の流れに身を任せてみてください。
大きな空の下、川と同じ速さで景色がゆっくりと動いていく。その時間の中で、自分も北海道の自然の一部になったような感覚を味わえるかもしれません。
この道30年、天塩川を知り尽くした大ベテラン・高橋さんと一緒に、道北を代表する大河を旅してみませんか?